大エルミタージュ美術館展
大エルミタージュ美術展

エカテリーナ2世に始まり、歴代ロシア皇帝が世界から逸品を集めた「エルミタージュ美術館」。その膨大なコレクションから選ばれた珠玉の80点が公開されました。
 「大」という展示会の名称から、世界の巨匠の作品がこれでもかというほどずらっと並んでいるのかと思うと、そうでもありません。ほとんどの画家が1点ずつの出品で、ゴーギャンやルノアールなどの巨匠から初めて名前を聞いた画家の作品まで、幅広い展示がされていました。
 ちょっと肩透かし、、というかんじもしましたが、新たな目で心に残る作品をいくつが見つけることができました。

 「聖母子」
 作者不明 (15世紀のヴェネツィア派)


展覧会のトップを飾っていたのが、作者不明のこの作品です。落ち着いた雰囲気ながら鮮やかな色彩で、全体的に煌びやかですが、衣服の模様など繊細な描写にも目を奪われます。「聖母子」というタイトルながら、庶民的な柔らかい雰囲気で、見るものを和ませてくれる素晴しい作品です。

聖母子

「果実を持つ女
ポール・ゴーギャン
1893年

ゴーギャンといえば、色彩鮮やかな「タヒチ」―。
そう連想するほど、タヒチで数多くの印象深い作品を描いたゴーギャン。彼は1903年に55歳で没しますが、晩年の8年をタヒチで過ごし、タヒチの自然と人々をした多くの傑作に残しました。
 この「果実を持つ女」もその中の一つで、ゴーギャンならではの大胆な色彩と、原始的な生命感、トロピカルな風土性がよく表われた作品です。


「18世紀の女官たちの水浴」
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「18世紀の女官たちの水浴」
フランソワ・フラマン
1888年
18世紀から19世紀にかけて活躍したフラマンは肖像画や歴史画も描いていますが、このような風俗画的な絵をを得意としました。ロココ時代の貴族的で優雅で洗練された趣味と生活を懐かしみ、その再現を夢見た“ネオ・ロココ”の絵画で、キャンパスいっぱいに華やかな雰囲気を漂わせています。宮殿の庭にような場所で水浴びする女官たちを描いていますが、画面の中央には王女らしき女性も描かれ、ロココ時代の優雅なファッションを再現しています。


「野原の少女」
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「野原の少女」
ルートヴィッヒ・クナウス

1857年

柔らかな日差しに包まれた野原に佇む少女の愛しいしぐさ―。キャンパス全体から暖かみが漂い、心に残る作品。作者のクナウスは19世紀後半に活躍したドイツの画家で、素朴で親しみやすい作風で当時大変人気のある画家だったとか。
 日本では知名度は高くないにもかかわらず、展示会の目玉作品としてグッズも販売されていました。私も購入!


「エトワール広場から見たシャンゼリゼ風景」

 「エトワール広場から見た
         シャンゼリゼ風景」

 エドモン=ジョルジュ・グランジャン
 
1878年

85.5cm×135.5cmの大きなキャンパスに、当時のシャンゼリゼの様子をそのまま切り取ったような作品。描かれた人物や馬たちが今にも動き出しそうなイキイキとした描写が素晴しく、思わず引き込まれそう!


「ナポリ湾の花火」
オスヴァルト・アヘンバッハ
1875年

当時の花火の様子を描いたこの作品は、絵ハガキなどではあまりその魅力が伝わりにくい。生の作品からは、夜の暗闇の中で固唾を呑んで花火を楽しむ臨場感が伝わってきて、独特の魅力を醸し出しています。
 アヘンバッハはドイツの画家ですが、日本ではあまりなじみのない画家。WEBで調べてみたところ、他にもナポリの風景画を数多く描いていて、それらもなかなか素晴しい!

「ナポリ湾の花火」

「モンマルトルのキュスティン通り」
モーリス・ユトリロ
1909−10年

パリの素朴な街の風景を描いたユトリロ作品は、どこか不思議な魅力に満ちていて、惹きつけられる何かを感じます。温かさと哀愁を同時に感じさせる色彩とタッチは、ユトリロならでは、、、。

「モンマルトルのキュスティン通り」

その他の主な作品
タイトル 作者名
「扇子を持つ女」 オーギュスト・ルノアール
「アルテミス」 マリー・ローランサン
「ジヴェルニーの干草」 クロード・モネ
農夫の妻 (全身像) パブロ・ピカソ
ムラーノ等のサン・ジョヴァンニ教会の眺め カナレット
エルベ川から見たピルナの風景 ベルナルド・ベロット
「リュクサンブール公園」 アンリ・マティス
「マントンの港」 アルベール・マルケ
「リュクサンブール公園、ショパン記念碑」 アンリ・ルソー