尾形光琳生誕350周年記念 継承と変奏 |
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琳派を代表する芸術家たちの作品が一同に公開されました。すごい名品がずらり! その中から注目作品や自分なりに気になるものを選んで紹介しました。 |
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本阿弥 光悦 | |||
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「舟橋蒔絵硯箱」 《国宝》
まず硯箱とはいえない丸く盛り上がった形におどろきますが、硯箱にはある和歌が記されています。題材になっているのは『後撰和歌集』に収められた源
等の「東路の 佐野の舟橋 かけてのみ 思ひわたるを 知る人ぞなき」の和歌ですが、「舟橋」の文字だけが抜けており、クイズのようになっています。ぱっと見ると気がつきませんが、金地に浮き出る舟のシルエットと帯のように渡された銀の橋で「舟橋」を連想するように工夫されています。 |
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「黒楽茶碗 銘 雨雲」 《重文》 光悦は楽家の楽常慶、道入という大家たちのもとで茶碗作りを行いました。その昔、千利休が楽焼の始祖の長次郎に楽茶碗を作らせた時から、楽茶碗は全面に釉薬が施されているのが基本でした。しかし、この「雨雲」には、従来の定番から逸脱する革新的な作品でした。 |
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俵屋 宗達 | ||||
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「伊勢物語図色紙 芥川」 「源氏物語」「平家物語」「西行法師」など古典文学にまつわる物語絵が数多く出品されていましたが、これもその一つです。 |
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「白象図・唐獅子図 杉戸」 《重文》 三十三間堂に隣接する養源院の杉戸絵。養源院は、豊臣秀吉の側室の淀君が父の浅井長政の菩提寺として創建したものですが、火災に遭い、1621年に徳川秀忠が正室・崇源院(淀君の妹)の願いにより伏見城の遺構を移築して再建し、徳川家の菩提所となったそうです。 |
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尾形 光琳 | ||||||||||||||||||||||||||||
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「八橋蒔絵螺鈿硯箱」 《国宝》 光琳が好んで取り上げた『伊勢物語』第9段の「八橋」を題材とした硯箱ですが、主人公の在原業平や従者の姿は省略され、物語に登場する燕子花と八橋がクローズアップされています。工芸品ではこういった「留守文様」の手法がよく用いられたそうです。 |
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「三十六歌仙図屏風」
三十六歌仙とは平安時代中期の歌人・藤原公任によって選ばれた三十六人の和歌の名人で、歌仙図は鎌倉時代以後好んで描かれたそうです。 |
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「秋草図屏風」 2曲1双 菊、薄、萩、桔梗、女郎花、撫子などの秋の野の草花が軽やかに描かれ、その見事な描写にうっとり見とれてしまいました。特に、立体感をもって描かれた白菊は、白い落雁のようなぽってり感が何ともいえません。 |
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全体 |
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「扇面貼交手筥」 光琳は絵画の分野だけでなく、団扇や扇のほか硯箱や印籠、弟・乾山の焼物など多岐に渡る日用品の絵付けやデザインなど幅広い制作活動を行ないました。光琳の工芸家としての名声は画家としてのものを上回るほどで、「光琳模様」と呼ばれて当時の流行だったそうです。 |
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尾形 乾山 | ||||||||||||||||||||||||||||
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「色絵吉野山図透彫反鉢」 乾山の焼きものは色鮮やかでデザイン性に優れたものばかりですが、特に透鉢や火入れなどは個性的で芸術性も高く、一度見ると強く印象に残る作品が多い。 |
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「梅・撫子・萩・雪図」 この4幅対は、元々は袋戸用の小襖絵だったものを軸装にしたもので、「雪図」の中に80歳の年記があるので没年の前年の1742年に描かれたものと思われます。 |
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酒井 抱一 | ||||
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※クリックで拡大 |
「夏秋草図屏風」 《重文》
元々は尾形光琳の「風神雷神図屏風」の裏に描かれていた作品だそうですが、勇ましい「風神雷神図屏風」とは正反対ともいえる爽やかな雰囲気の作品です。尊敬する光琳の作品の裏に描くということで、かなりの下絵や習作を残しているとのことですが、雷神に対して「雨の中の夏草」、雷神に対して「風に吹かれる秋草」が対比されています。酒井抱一の描く草花は秀逸で、その描写の巧みさと色の鮮やかさで見るものを釘付けにします。 |
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「四季花鳥図巻」 (部分) 春夏と秋冬の2巻から成る四季の草花を描いた絵巻。これは秋冬の巻頭部分で、画面の上に半分顔を覗かせた銀の月や紅白の萩に秋の風情を感じます。 |
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「十二ヶ月花鳥図」 |
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「光琳百図」 熱心に光琳の研究を行なっていた抱一は、1815年の光琳の百回忌に記念の法要と展覧会を行なったほか、琳派の印を集めて解説を付けた「緒方流略印譜」の刊行や光琳の写しの掛軸百幅の制作など様々な試みを実行しました。『光琳百図』もこれらの追善供養の一環として制作されたもので、展覧会に出品された42点を含む99点を収録した上下2巻からなる版本です。抱一が江戸で実際に見ることのできた光琳の作品の図柄をまとめたもので、若き日の鈴木其一も下絵を手伝っているそうです。 |
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鈴木 其一 | |||||
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「秋草・月に波図屏風」 二曲一双 表には鮮やかな秋の七草が描かれ、裏には金泥で月と波が描かれています。2枚の絹絵は裏打ちせずに太鼓張りになっていて、裏から光が当たると表の秋草の背景に月と波の陰影がうっすらと浮かぶつくりになっています。展示会場でもライティングで明暗が変わるようになっていて、月と波が浮かんでくる様が鑑賞できました。これぞイキですね。 |
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夏秋山水図屏風 6双1曲
6客1双の屏風で、左が秋で、右が夏。 |
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掛軸の周りの表具に絵を描かれたものを「描表装」というそうですが、この技法を其一は好んだそうです。 左 「歳首の図」 春を告げる鶯と梅を描いた歳首(新年)を祝う掛軸。本絵の鶯の部分は控えめに描いて十分余白を取り、華やかな描表装がぐるりと囲んでいる構図。上から張り出した梅が本絵と描表装部分をうまく調和させています。 右 「東下り図」 描かれているのは光琳も好んで描いた『伊勢物語』第9段「東下り」の場面で、馬上の貴人は在原業平。この掛軸の描表装には、桜や紅葉、つくしなど四季折々の花や草木が描かれていて見るものを楽しませてくれます。 |
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