「ビールの都」ミュンヘンでも、特に際立った存在なのが、「ホーフブロイハウス」。「ホーフ」とは「宮廷」、「ブロイハウス」とは「醸造所」の意味で、元々はバイエルン宮廷のために設立された直営ビアホールです。
ホーフブロイハウスの歴史は古く、16世紀末にさかのぼります。時は「敬虔公」と呼ばれるバイエルン公ヴィルヘルム5世の時代。信心深い王が聖ミヒャエル教会をイエズス会に教会を寄進したことで、国庫は底を尽きそうでした。そんな事情もあって、ヴィルヘルム5世は宮廷専用の醸造所を設立することを思いつきました。当時、ミュンヘンのビールはあまりおいしくなかったので、年間1300ヘクトリットルものビールをニーダーザクセンから購入していたからでした。
こうして「ホーフブロイハウス」の醸造所は1589年に設立され、ヴィルヘルム5世の息子のマクシミリアン1世の時代にヴァイスビア(白ビール)が誕生しました。マクシミリアン公は、このぴりっとして軽いビールをとても気に入りました。ホーフブロイハウスは最初ヴァイスビアの醸造を独占しますが、19世紀末になると他の醸造所からも良質のヴァイスビアが販売されるようになりました。ヴァイスビアは今はミュンヘンのビール全体の30%を占めているそうです。
そして、「ホーフブロイハウス」は1828年より民間にも開放され、ビアホールがオープンすると、またたくまにミュンヘン市民の人気の場所となったそうです。各階に様々な大きさのホールがあり、地元の人々から団体客まで毎日大勢の客でにぎわっています。特に有名なのは、「フェストザール」(祝典ホール)と呼ばれる3千人以上を収容できる大ホール。ここは、かつてナチスのヒトラーがよく集会を開いたことでも知られています。
ビアホールは日中から営業しており、中庭のテーブルでのんびりするもよし、バイエルンの踊りが楽しめる本格的なショーやバンド演奏などを堪能しながら、仲間とワイワイ騒ぐもよし!
また、ミュンヘンにはホーフブロイハウス以外の他のビール会社のビアホールもあるので、そこを回ってみてもまた別の楽しみが味わえます。
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