ザンクト・ヴォルフガングの最大の見所となっているこの巡礼教会は、今から1千年以上前の次のような伝説がもとになっています。

 976年、ヴォルフガング湖がまだアパー湖と呼ばれていた頃、湖ののほとりで修行していたヴォルフガングが、神のお告げを聞きました。「ヴォルフガングよ、その手にしている斧を投げよ。そして、落ちたところに教会を立てよ」―。
 そうして建てられた教会にはたくさんの巡礼者を集めましたが、1429年に街で発生した火災により教会は焼けてしまいました。しかし、1477年には現在の後期ゴシック様式の教会が再建され、15世紀末には巡礼の最盛期を迎え、年間2〜7万人が訪れたそうです。

遊覧船より巡礼教会
教会内部
↑写真左側の祭壇は、トーマス・シュバンタラーが1676年に制作したバロック式祭壇。(写真クリックで拡大)
どらまちっく・ひすとりー
ザンクト・ヴォルフガング巡礼教会
Pfarr und Wallfahrtskirche St.Wolfgang
ゴシック式祭壇
↑教会の奥にある扉付の主祭壇は、チロルの芸術家ミヒャエル・パッハーが10年がかりで制作してもの。両翼の板絵のマリア戴冠、十字架のキリスト、祝福を与える神へと上昇する木彫りのシーンは見ごたえ十分。

 この教会の主祭壇は、オーストリアに現在するゴシック式祭壇の最高傑作といわれています。また、教会の中央付近にあるバロック式祭壇の豪華な細工もまた素晴らしく、天井のまた見事!豪華さと素朴さの同居した不思議な空間を醸し出しています。

巡礼教会外観