19世紀前半から中頃までが中心のPart1の続きです。19世紀中頃からのフランス絵画は、時代の流れとともに様々な動きがあり、時代とともに少しずつ変遷していきます。複雑な要素が絡み合ってわかりにくい部分もありますが、自分なりにまとめてみました。あまり知られていない分野でもあるので、とても新鮮でした。 |
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第3章 アカデミズム第2世代とレアリスムの広がり | |||||
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19世紀も中ごろになり、産業革命による急速な近代化や1848年の二月革命での共和制の成立など時代の変動とともに、美術界にも日常的で現実的な事柄をテーマにしようという動きが現れてきました。今まで絵画の中で重要視されてきた「理想」ではなく、庶民の生活や自然の風景・労働者など、身近な現実をありのままに描くことを主張した「写実主義(リアリスム)」です。この時代の画家達は歴史や古典美の研究から解放され、目の前に見える自然な美を自由に描くことができるようになりました。 |
▼ 「アラクス河岸で牧人たちに発見されるゼノビア」 |
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ボードリーは第二帝政期を代表するアカデミニズム画家。ナポレオン3世からガルニエ宮の装飾を依頼され、10年かけて制作したことでも知られています。 |
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ジェロームはドラロッシュのもとで修行を積んだ後、1947年にサロンで銅賞を獲得。そして、この「酔ったバッコスとキューピット」は翌48年に銀賞を獲得した作品です。 |
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ブクローもまた若き日にローマ賞を獲得し、イタリア留学を経て美術アカデミー会員となり、1888年には国立美術学校の教授となるアカデミズム絵画のエリートコースを歩んだ画家でした。アングルなどの新古典主義の流れを汲む伝統的な画風でしたが、神話や天使、少女を題材とした絵画を得意とし、官能的な裸婦像や憂愁を帯びた若い女性などに独特の世界を築きました。 |
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この作品は、1870年にサロンに出品されたオルセー美術館所蔵の「パオロとフランチェスカ」のレプリカで、山形県の山寺にある後藤美術館の所蔵。 |
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ナポレオン3世による第二帝政期にあった1863年のサロンには多くのヴィーナスの裸体が出品されたため、「ヴィーナスのサロン」と呼ばれました。 厳しい審査で多くの作品が落選し、その苦情が皇帝の耳まで届き、落選展が開催されたことで知られています。 |
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1863年のサロンに出典され、皇帝ナポレオン3世が購入したオルセー美術館所蔵のカパネルの「ヴィーナスの誕生」のレプリカ。大手の美術商であるグービル商会がジョルダンに複製を描かせ、カバネル自身が加筆・修正し、署名をしたそうです。上に紹介したカパネルの「パオロとフランチェスカ」と比較すると、同じ画家の作品だと思えないほど、色彩も明るく、構図なども大胆で開放的です。 |
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顔は横を向いているものの堂々とした立ち姿の裸体の女性。手足の長いスラリとしたプロポーションに小顔は、まさに現代の私たちの理想とするプロポーション。ヴィーナスというより、まるでモデルさんにような! |
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▼ 「真珠と波」 ポール・ボードリー 1862年 |
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ヴィーナスをモチーフにした女性の裸体が流行したパリで、高い評価を得た作品の一つ。この作品は、ナポレオン3世夫人のウージェニ皇后が買い上げたとか。 |
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第4章 アカデミニスム第三世代と印象派以後の展開 | ||||
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19世紀後半は、それまでの絵画の役割や求められる作風などが変わり、美術界の大きな転換期になった時期です。それには19世紀の前半の写真の普及など様々な要因が関係しています。 |
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「ヘベ」とは元々「若さ」の意味で、ゼウスとその正妻ジュノーの娘で、優美さと若さを象徴するギリシア神話の女神です。古典ギリシア語では「へーべー」と伸ばして発音するそうです。ヘベは、オリンポスの宮殿で饗宴が開かれる時には、神酒の給仕役をするそうで、この絵でも頭の上から左手に持った杯に酒を注いでいるところが描かれています。 |
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アングルの「パフォスのヴィーナス」とともに、この展覧会のイメージキャラクターとして、チラシ等に利用されていた作品です。 |
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大きなキャンパスに淡くやわらかい色彩で描かれたこの作品は、全体的に非常に優しい雰囲気を醸し出していて印象に残ります。 |
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中世の宗教戦争を題材にした作品で、異端裁判所の残虐行為に対する告発を審議しているシーン。多数派のドミニコ派に対立するフランチェスコ会派の修道士ベルナールが描かれています。 |
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シヴェルニーはモネが晩年を過ごした場所として有名ですが、この麦わらの描いた絵画を何枚も残しているとか。何気ない風景のように見えますが、じっくり見れば見るほど色彩の表現が見事な作品でした。 |
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晩年、故郷のエクス・アン・プロヴァンズにアトリエを構えたセザンヌは、アトリエ周辺の自然を繰り返し描きましたが、そこには近郊にそびえる白い石灰岩の山・サン・ヴィクトワールが必ずといっていいほど、描きこまれていました。この作品は、それらの中でもヴィクトワール山が大きくメインに描かれている作品です。 |
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※Part1へ (鑑賞日:2009年7月10日、更新日:8月2日、13日) |
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