ラ・メルヴェイユ

モン・サン・ミッシェル

回廊 食堂 騎士の部屋

 モン・サン・ミッシェルの北面に位置する3層のゴシック様式の建築棟の部分は、修道院の居住スペースとして13世紀に増築された部分でです。その装飾の美しさから、「ラ・メルヴェイユ」(驚嘆)と呼ばれています。
 この建物の建設はフランス国王フィリップ2世の寄進によって行なわれ、1212年に着工してから約16年後に完成しました。それ以前のモン・サン・ミッシェルの建築はロマネスク様式で建てられていましたが、「ラ・メルヴェイユ」は当時の時代の流行を反映してゴシック様式が用いられています。当時、ヨーロッパでは堂々としたゴシック様式の大聖堂の建築が数多く行なわれており、当時の建築様式が反映されています。モン・サン・ミッシェルの修道士たちも暗くて狭いじめじめとした環境から開放され、広くゆったりした趣の中に美しい装飾を施した快適な生活空間を手に入れたのです。
 最上階の3階には聖職者のための「回廊」と「食堂」、中層階には「騎士の部屋」と「貴賓室」、そして1階に貯蔵室、施物分配室などがありました。最上階は修道僧士たちの専用スペースで、2階の修道士たちの作業場だった「騎士たちの部屋」の隣には身分の高い巡礼者用の「貴賓室」が設けられていました。そして、1階の施物分配室では特に貧しい巡礼者は施しを受けたそうです。身分ごとに上から下に分かれた中世の身分社会の縮図が、「ラ・メルヴェイユ」の建物のつくりにも見て取れます。

ラ・メルヴェイユの西側
西のテラス方面から見た「ラ・メルヴェイユ」。
最上階は回廊


「世界一美しい壁」と言われる北の側面

回 廊
回廊の中庭 回廊の装飾
中庭の四方を二重の円柱列がずらりと取り囲んでおり、落ち着きと静けさを感じさせる空間は、「ラ・メルヴェイユ」の最上階にあり、修道士たちが休憩したり、瞑想などをするスペースでした。
 モン・サン・ミッシェルの修道士たちは様々な学術の研究に携わっていましたが、ここでは薬草が植えられ、それを使って巡礼者の治療なども行なっていたそうです。

 ここは海の見晴らしも良く、観光客の展望所となっています。
美しい回廊 回廊と中庭
食 堂
食堂
★最上階の回廊の隣にある厳かな雰囲気の食堂。薄暗いが、両脇にある59の小窓から光が差し込んでいる。ここで修道士たちは、静かに食事をし、聖人伝などのを聞いた。修道院においては、食事も信仰生活の一つの儀式でした。
騎 士 の 部 屋 貴 賓 室
騎士の部屋 ★アーチ型の天井や柱頭の装飾にゴシック様式の特徴のあるこの部屋は、修道士たちが写本や細密画などをする仕事場だった。1469年に「聖ミカエル騎士団」が結成された後、「騎士の間」と呼ばれるようになった。大きな暖炉があったので、「暖取り所」とも呼ばれていたた。
貴賓室 ★身分の高い人や尊い客人などをもてなした部屋。ここで食事が整えられ、すぐ近くにトイレもあり、当時のVIP待遇だった。この部屋もゴシック様式アーチ型の天井と葉型模様の装飾が優美。
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