天井画 ←壮大な天界を描いた天井のフレスコ画は、ミュンヘンの宮廷画家だった兄のヨハン・バプティスト・ツインマーマンの作。
教会内部
教会内の柱の装飾 教会入り口とパイプオルガンパイプオルガンパイプオルガン
教会内の柱の装飾
ヴィース教会 
Wieskirche

  ロマンチック街道の終点フュッセンの近く、シュタインガーデンでロマンチック街道から外れて東南に入り、のどかな草原をしばらく走ると、こじんまりとしたクリーム色の教会が現れてきます。この小さな教会が世界遺産にも登録されている「ヴィース教会」です。
 「ヴィース教会」とは「草原の教会」という意味ですが、この教会が非常に有名なのは、18世紀に起こった「ヴィースの奇跡」といわれる伝説から建てられたカトリック教会だからです。

「ヴィースの奇跡」と言われる伝説とは?
  1732年、ヴィース教会に近いシュタインガーデンの修道院に「鞭打たれるキリスト」の像がもたらされました。しかし、このキリスト像は血を流す姿があまりにリアルで悲惨だったため、嫌われて飾られることなく修道院の屋根裏に8年も放置されたままになってしまいました。それを見つけたマリア・ロリーという名の農婦が哀れに思ってこの像を譲り受け、熱心に祈りを捧げ続けました。すると、数ヵ月後の1738年6月14日、なんとキリストの像が涙を流し始めたのでした。
 この奇跡に驚いたロリー夫妻は、この像「鞭打たれるキリスト」のを牧草地にあった小さな礼拝堂に安置しました。この奇跡はまたたくまに広がって、やがて多くの人が巡礼してくるようになりました。その後、この像を拝んだら病気が治ったという新たな奇跡話なども加わり、巡礼者がどんどん増えて小さな礼拝堂では手狭になってしまいました。 
 そこで新しく建設されたのが今日の「ヴィース教会」です。尊いキリスト像を粗末に扱ったことを後悔しショックを受けていたシュタインガーデンの修道院長が新しく立派な巡礼教会を建てることを発案し、先頭に立って寄付を集め、建設資金の調達をしました。

ツィンマーマン兄弟が手がけたロココの傑作
 ヴィース教会の設計はドイツ宗教建築の第一人者ドミニクス・ツィンマーマンに依頼されましたが、天井画などは彼の兄ヨハン・バプティスが担当。1746年に建築が開始され、ツインマーマン兄弟が情熱を傾けた教会は54年には「献堂式」が行なわれ、その3年後に内部工事などすべての工事が終了しました。60歳でこの仕事を請け負ったドミニクスは、残りの生涯を懸けてヴィース教会の建築に心身を砕き、完成後も80歳で亡くなるまでこの教会の近くに住み続けたそうです。
 この教会の内部は、外観からは想像もつかない華やかな装飾に満ちていて、18世紀ドイツ・ロココ建築の最高傑作とされています。ロココ様式はフランスで生まれたものですが、ドイツのロココはそれに後期バロック様式の要素も加わった独特のものでした。バロックのような威圧感はなく、華やかさの中に抑制のきいたドイツ・ロココは、宗教建築でも盛んに持ちいられました。
 宗教的にも芸術的にも非常に価値の高い
ヴィース教会は、ユネスコの世界遺産にも
登録され、年間100万もの人が訪れる観
光スポットになっています。

ヴィース教会内部 教会の建築設計は弟の名匠ドミニクス・ツインマーマンが担当。

どらまちっく・ひすとりー

「鞭打たれるキリスト」
主祭壇に安置さtれている「鞭打たれるキリスト像