玉座の広間
ノイシュヴァンシュタイン城

 
 様々な趣向が凝らされ見所の多いノイシュヴァンシュタイン城の中でも、豪華さとインパクトで訪れた人々を圧倒する「玉座の広間」。広さはそれほどでもありませんが、4階と5階を吹き抜けにしたその空間は、煌びやかな黄金の輝きを放っています。
 球状と半円筒形を組み合わせて造られたこの広間は、ビザンチン式の聖堂を参考にしたもので、ヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂とイスタンブールのアヤ・ソフィアをヒントにして設計されました。

 白いカララ産大理石の階段を登った所には、象牙と黄金の玉座が据えられるはずでしたが、ルートヴィッヒ2世の死により玉座の製作は中止されました。今も玉座のスペースがぽっかりと空いており、「玉座の広間」としては未完のままとなりました。

 玉座の上の壁絵はヴィルヘルム・ハウシルトの作ですが、上部にキリストとマリア、ヨハネが描かれ、その下には椰子の木の間に6人の聖王が描かれています。「聖王」は、左からポーランド王カジミール、ハンガリー王シュテファン、ドイツ王ハインリッヒ2世、フランス王ルイ9世、スペイン王フェルディナンド、イギリス王エドワードとされており、玉座の広間の他の側面の壁絵はこの聖王たちの伝記が題材となっています。そして、大理石階段の左右は、神の掟を伝える「十二使徒」。

 中央の円天井の青地に散りばめられた黄金は太陽と星からなる「天空」を示し、動植物をモチーフにしたビザンチン風の床のモザイクは「大地」を表しています。そして、その天と地の間の空間には、「神と人間の仲介者たる王の冠」を象徴する豪華な燭台が吊り下げられています。ガラス石がはめこまれ、96本のロウソクが立つこの巨大な燭台は重さ900sもあり、掃除やろうそくの取替えの時には天井裏に取り付けられたウィンチで上げ下げができるようになっています。


    「龍と戦う聖ゲオルグ」
大理石の階段の向かい側 (左写真のシャンデリアの下部の後ろに隠れている部分)に描かれている絵画。善を象徴する聖ゲオルグと悪の象徴・龍の戦いはキリスト教的な戦いの意味が込められている。
 左上の山の頂には小さな城が描かれていますが、これはルートヴィッヒが建築を予定していた第4の城・ファルケンシュタイン城。「玉座の広間」の張り出し窓から眺めることができるはずでしたが、王の死により建設計画は中止になった幻の城。

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