水の階段 新しい庭園 ヘネラリーフェからアルハンブラの眺め
(写真左)手すりの上の溝に水が流れる「水の階段」。
(写真右)コンサートなどが開催される野外劇場へと続く道として新しく作られた庭園。
▲ヘネラリーフェからのアルハンブラ宮殿の眺め。手前は「アセキアの中庭」。

 アルハンブラ宮殿から徒歩で約10分ほどの丘を登ったところにある夏の離宮で、14世紀の初めにナスル朝グラナダ王国のイスマイル1世の命により造営されました。レコンキスタ完了後から20世紀初めまでは個人の所有だったため、庭園や建物は大幅に改修されていますが、水と緑に囲まれたその美しい佇まいは訪れる人を魅了します。

 この離宮の特徴は、たくさんの水路や噴水が設けられ、水をふんだんに使っている点で、「水の宮殿」とも呼ばれています。中庭の奥にある「水の階段」は、離宮で唯一の14世紀造営当時のものですが、ネバダ山脈から引き込んだ水がこの階段を流れ、庭園の隅々まで潤します。堀の両側からアーチ状に絶え間なく水が溢れ出し、高低差を利用した噴水などイスラム独特の技法で様々な水の趣向が凝らされています。
 地中海性気候のアンダルシア地方では、降雨が冬に集中し、夏は空気が乾燥します。暑く乾いた夏を快適に過ごすためにも、水は不可欠でした。北アフリカの乾燥した大地からやってきたイスラムの民は、水へのある景観をこよなく愛したのです。

アセキアの中庭
アセキアの中庭/離宮の中心に位置するアセキア(堀割)のある中庭。堀の両側から常に水がアーチ状に噴出しているのが印象的
スルタナの糸杉の中庭
スルタナの糸杉の中庭/スルタナとは「王妃」のことで、ここで王妃が若者と密会していたと伝えられる。
ヘネラリーフェ離宮
Generalife

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