5世紀に渡りバイエルンを統治したヴィッテルスバッハ家の本宮殿。最初の居城は、レジデンツの敷地内にある旧王宮アルター・ホーフでしたが、多発する市民の反乱を機に1385年に新しい宮殿の建設をスタートさせました。それから、何度も増改築が繰り返され、ほぼ現在の形で完成したのが、19世紀のルートヴィッヒ1世の時代でした。400年以上の歳月を費やして築かれてきただけあって、ルネサンス、ロココ、バロック、新古典主義の各様式が混在しているのが特徴です。
ヴィッテルスバッハ家は、音楽や建築など芸術を好み、洗練された高い文化を育ててきた家柄。レジデンツも外観はシンプルですが、宮殿内は洗練された豪華な装飾であふれています。ゲーテやナポレオンもこのレジデンツを訪れた際には、その煌びやかさに驚嘆したのだとか。
1918年にバイエルンは王政が崩壊して最後の王ルートヴィッヒ3世が退位しましたが、このレジデンツはその2年後に一般公開されました。第二次世界大戦で大きな被害を受けたものの、40年の歳月をかけて入念な修復工事を行ない、ほぼ元の姿を取り戻しています。
現在、レジデンツ内部は「レジデンツ博物館」と「レジデンツ宝物館」として公開されています。「レジデンツ博物館」は王宮の内部の広間や数々の部屋がそのまま見られるもので、ハイライトは「アンティクヴァリウム」や「祖先画ギャラリー」「銀の間」など。「レジデンツ宝物館」は、ヴィッテルスバッハ家に伝わる豪華な宝物が展示されています。そのほか、レジデンツにはクヴィリエ劇場(旧王宮劇場)やレジデンツ庭園などもあります。