ミュンヘン市の西の端に位置するバイエルン選挙候や国王の夏の離宮。1662年、選挙候フェルディナンド・マリアは、結婚10年目にようやく待望のマックス・エマヌエルが誕生したことを記念して、夏の別荘の建築を思い立ちました。
時は絶対王政期、当時の宮殿の建設は王家の権力の誇示の意味合いが大きく、バイエルンでも王宮をはじめ、城や広場など様々な大規模建築が行なわれていました。
こうした状況の中、1664年、ニンフェンブルクの離宮は、テアティナー教会の設計で知られるイタリア人建築家アゴスティーノ・バレリにより建設がスタート。次のマックス・エマヌエル選挙侯の時代にほぼ完成しました。
ニンフェンブルクの魅力は、その広大で美しい庭園にありますが、これはフランス人の造園技師がベルサイユ宮殿庭園を手本に設計したものです。庭園内には、狩猟用の宮殿アマリエンブルクや室内浴場のあるハーデンブルクなどの小宮殿が点在しており、見所となっています。
ニンフェンブルクは、その後も歴代の君主により幾度も拡張工事がなされて現在の姿になり、バロック様式、ロココ様式などヨーロッパ芸術の醍醐味を味わせてくれる宮殿となりました。
1845年には「メルヘン王」と呼ばれるルートヴィヒ2世も、このニュンヘンベルクの離宮で誕生し、盛大な洗礼式が本館の祝宴広間で行なわれています。